金融工学
金融工学とは金融における諸問題を工学的な手法で解決しようとする学問分野のことです。
金融というものは人工的なものだし数量的に完全に定まっているもののようでいて、実は自然や生き物のように未知の部分が非常に大きく、工学的手法でこれを解決しようという試みは有益ではあるものの、実に困難なテーマでもあるのです。
現代の金融市場では莫大な信用創造がされており、また、非常に多岐に渡る金融商品が様々な市場で取り引きされ、それらの全体像を把握することはもとより、ごく一部について、ごく短期の予測をすることも、困難を極める状況ではありますが、多数の投資家が極大の利潤を求めて様々な情報と思惑で動くので混沌とした世界が作り上げられています。
近年、金融工学の発達にともない、その理論に基づいたリスク管理が多くの投資家に取り入れられたのですが、それが、かえって数度にわたって起きている世界同時株安のような異常事態の原因になっているのではないかという懸念もあります。
学問、科学の世界では新しい理論や分析手法が生まれると、近い将来、その分野の謎は全て取り除かれるのではないかという期待が生まれます。
金融工学においても堅実なリスク管理に基づいた安全な資産運用が可能になるもののと大いに期待されたのですが、そんな単純に事が運ぶはずはないのです。
とはいえ、現在の金融市場において金融工学に全く無知なまま投資行動を行うことは、丸裸でジャングルに分け入るようなものです、かえってやっかいな世の中になってしまいました。